・研究テーマについて教えてください。
私たちはソーシャルリスニング(SL)をより有用にするための研究を行いました。SLはSNS上の投稿を収集するので、企業がアンケートやインタビューを行うよりも消費者のリアルな声を収集できる手法として注目されています。しかし、SNS上の投稿メッセージは消費者の本音とは限らないという問題がありました。そこで本研究は消費者の「SNS上の投稿メッセージ」と「本音」の関係を明らかにすることで、より正確に「SNS上の投稿メッセージ」から「本音」までさかのぼることが出来るようにしました。このSLはインバウンド消費で注目を集めている中国人に対しても行われているので、日本人と中国人の傾向の違いも明らかにしています。
・一番時間をかけた、力を使ったところはどこですか?
強いていうのであればテーマ決めですが、全部です。どのようなテーマで研究を行うことが学術的にも実務的にも貢献が大きいかを考えることには苦労しましたが、どの段階でも様々な困難に直面して、そのたびに全力で時間をかけて取り組んできました。
・研究過程で一番大変だったところはどこですか?
私たちの班は役割分担をしてやっていた部分が多いので、その人によって一番だと感じた点は違うみたいです。英語論文執筆の人もいれば、問題の所在の段階の人もいます。例えば、問題の所在を明確にする段階では、先行研究や企業インタビューの結果を踏まえて、どの点を問題として研究を進めていくか決めなければなりません。その際、何が本当に解決すべき問題で、解決することが学術的にも実務的にも意義があることなのか考えることに苦労しました。
・他のチームにこれは負けないという強み、勝因はどこにあると思いますか?
3つあると思います。1つ目は、チーム名の由来にもなっている、「亀のように少しずつでも進んでいく力」です。私たちは全員要領が良い方ではなく、どちらかと言えば不器用な方です。そのためIBインカレに出場できないかもしれないという事態に何度も直面しました。しかし、班員同士で毎日何度も議論し、最後の最後まで、あきらめずにやり切ったことが結果につながったと思います。
2つ目は「役割を果たすこと」です。私たちは3人しか班員がいません。そのため、「誰かがやってくれるだろう」ではなく「自分がやらなければ」という意識を強く持って研究をしていたと思います。また、少ない人数でも最大限のパフォーマンスを出すために、しっかり役割分担をしていました。研究の流れの構築やスケジューリングなどの班全体の調整を行う役割、統計を武器に消費者アンケート作成し、大規模な調査を実施する役割、英語論文執筆やIBでの質疑応答など英語をメインとする役割など、それぞれの強みとなる部分を活かし合いながら、責任をもって自分の役割をやり切ったことが強みだと思います。
3つ目は「本気でぶつかり合うこと」です。私たちの班は議論の中で何度もぶつかり合いました。はたから見たら「ケンカしているの?」と勘違いされるぐらいの熱い議論を積み重ねていきました。ですが、3人とも「より良い研究にしたい!IBインカレで優勝したい!」という気持ちを強く持っていたからこそ、研究の中で生まれた疑問点などをそのままにして終わらせてはいけないと思いました。そのため、「この研究は誰にとっての何の研究なのか?」「これは問題の本質をついているのか?」などを何度も何度も本気で議論し続けたことが勝因だと思います。
・もっとこうした方が良かったと思う点はありますか?
研究の後半にはだいぶ解消されましたが、「やった時間重視ではなくパフォーマンス重視で研究を進めること」です。研究を始めたころは長い時間だらだらと議論や作業をしてしまうということがありました。ただ長い時間やっているため疲れてしまって良い議論ができないというように、とても効率が悪かったと思います。しかし、重要なことはやった時間ではなく、成果物、パフォーマンスです。こういった点をより早く改善することが出来ればより効率的に研究を進められたと感じています。
・英語の論文の執筆、プレゼンをする際に大変だったことは何ですか?
英語の論文の執筆において、一番大変だったことは日本語と英語のニュアンスの違いです。日本語と違い、英語では「結論を先に述べること」が読者の理解を深めるために、より重視されていると思います。そのため、日本語にはない表現の仕方に慣れることが大変でした。特に、先行研究をレビューで日本の学術論文を英語に訳すときに苦労しました。日本語のニュアンスを変えることなく、英語に訳す必要があったため、先行研究をしっかりと理解していなくてはできませんでした。そのため何度も班員同士で確認し合いながら執筆しました。
プレゼンをするにあたって大変だったことは、今まで研究をみてくれていた方とIBのオーディエンスは異なるということでした。「初めて私たちの研究を見てくださった方にとって理解しやすい内容になっているか?」「私たちの研究に興味を持ってくださるか?」という部分が課題であり、悩んだところです。この日本語でも難しい点を、英語で表現するということが大変でした。
・優勝した感想
決勝のプレゼンをする前に、3人で「最後なんだから楽しくやろう!」って話をしていて、「何度もぶつかり合ったけれども、このメンバーで研究できてよかった。」って思いました。また、私は論文執筆やIBの質疑応答をする役割だったので「最後ぐらい私が頑張って、2人に優勝カップを渡してやるんだ!」って思っていました。それが叶ったのが、素直に嬉しかったです。だから優勝した感想としては、「これまで4月から努力してきたものが実って嬉しい!」という気持ちももちろんありましたが、「今まで辛かったことばかりを共有してきた2人と最後の最後に楽しい思い出ができた!」ってことも嬉しかったです(笑)
・今大会(2017年度)において何が最も重要になると思いますか?
議論の質だと思います。去年は質疑応答セッションが全て英語だったけれども、今年は1回だけならば、日本語で答えてもいいことになったと思います。その意図はやはり去年が英語に引っ張られ過ぎて、本来の熱い議論をするという点が薄れてしまったことにあると思います。なので、今年は将来のグローバルリーダーとなる学生が持つべき英語力だけでなく、問題の本質をつく鋭い質問ができるか、その質問に論理的に答えられるかが重要になると思います。
・後輩に一言お願いします。
「私がIBインカレを盛り上げてやるんだ!!!」って気持ちで取り組むことが大事だと思います。最後まで何が起きるかわからないので妥協せず全力で頑張ってください!
以上になります!
ご協力ありがとうございました!